目黒区から訴えられている被告は、2011年、東日本大震災により気仙沼市で被災、住居・店舗などを失い、市内小学校に避難しました。避難中に夫の病気が悪化、被災地の気仙沼市周辺では対応困難であることから、気仙沼市役所に相談したところ、通院に便利な友好都市である目黒区からの斡旋があり、応急仮設住宅として指定された目黒区の「区民住宅」に入居しました。
しかし2018年3月に宮城県の「みなし応急仮設住宅」の期限が切れた後、目黒区はこの期限切れを理由に、退去を迫り続けました。
被告はこの間、病状の悪化(2018年死去)している夫の、介護・看病に挺身しつつ、区営・都営住宅の一般応募を繰り返しましたが全て落選。2018年6月には「夫の移動困難」を示す診断書なども提出し、区に窮状を説明しましたが、被告は代替住宅の斡旋、家賃助成など有効な住居支援を受けることができませんでした。
被災者が退去しようにもできない状況におかれていた中、目黒区は2021年7月に建物の明渡しと800万円ちかい滞納家賃相当の支払いを求め、被災者である被告を訴えました。
被告はやむなく、同年10月に家財などを全て処分し、建物から退去しました。
=今回の口頭弁論は=
●被告(被災者)側は、昨年11月、東京地裁に準備書面・証拠を提出しました
*みなし応急仮設住宅の打ち切り時に、東京都や世田谷区は被災者と面談するなど意向調査を行い、都営・区営住宅への継続入居を認めるなどしたのに、目黒区はこのような住居支援を行わなかった。
*住宅セーフティネット法は、東日本大震災被災者を住宅援助の「要配慮者」としている。被告はさらに、高齢・低額の年金生活者であり、住居支援が求められたが、目黒区は有効な支援を行わなかった。
*住宅セーフティネット法は、東日本大震災被災者を住宅援助の「要配慮者」としている。被告はさらに、高齢・低額の年金生活者であり、住居支援が求められたが、目黒区は有効な支援を行わなかった。
*被告が居住した「区民住宅」(家賃月19万円)の、同じ間取りの別の部屋は「区営」住宅に転用されており、使用料は約4分の1になっている。目黒区の一方的な高額の家賃請求はおかしい。
●これに対して、原告(目黒区)側が反論の準備書面を提出
*高額家賃請求については、入居時には「不当利得額を教える義務はない」し、「東京、目黒区三田の家賃相場を知らないはずはない」。
*住宅セーフティネット法での被災者の救済は、区にとって「努力義務」にすぎない。
などとしています。
●次回、被告(被災者)側はさらなる反論と証人の申請を予定しています
次回期日は、3月16日(木)11:00~東京地裁721号法廷
裁判も大詰めです。引き続き応援のほど、よろしくお願いいたします。
=裁判報告集会=
報告集会では、一言メモなどで多数のご意見・質問をいただきました。
一部をご紹介させていただきます。
★聞けば聞く程、酷い話しで、本当に怒りに震えます。目黒区の意地の悪いやり方を徹底的に叩いて欲しいと思います。支援して下さる方の助けがあってこそだと思います。
★目黒区民として、こんなことは見逃さないと思っています。引き続き、裁判傍聴などできることをしていきたいです。
★“とにかく法廷の端をいっぱいにする”というお誘いで毎回来ています。ドラマで見るようなことではなくあっと!という間に終るので、これで役に立つのか?という思いもあります。
★この事実を一人でも多くの人に知ってもらうことの大事さを参加する度に痛感します。