目黒区 避難者に恒久的支援を 区と区議会に署名提出〈2022年6月26日号〉
目黒区が2011年に受け入れた東日本大震災の避難者である女性(67)に対し、「みなし仮設住宅」の期限切れを理由に約800万円の延滞家賃の支払いを求めて裁判を起こしている問題で13日、「めぐろ被災者を支援する会」は青木英二区長と宮澤宏行区議会議長あてに裁判の取り下げを求める署名を提出しました。
署名は今年3月から現在までに集まった、オンライン2999人、手書きによる紙の署名1028人、計4027人分を、同区総務課長と区議会事務局長に手渡しました。
署名提出に先立ち、同会は6月7日、第2回目黒区議会定例会に向けて災害救助法の趣旨に基づいた生活再建のための話し合いによる解決を求める陳情を提出。議会運営委員会は10日、被災者の女性と区が係争中であることを理由に、陳情を受け付けない決定を行いました。
同区が提訴した女性は、宮城県気仙沼市で夫婦で被災。がん治療が必要な夫のため、支援の申し出があった友好都市の目黒区に避難し、みなし仮設住宅に入居しました。18年3月末にみなし仮設住宅の打ち切りが通知されたものの、夫の病状が悪化。女性は看病で手が離せず区に退去の猶予を求めましたが、区は同年7月に訴訟提起を予告。10月に夫は死去しました。
区が女性に入居を指示したのは、家賃月19万円の区民住宅。入居時に区は、女性に家賃額を知らせていませんでした。会の調査によると、気仙沼から避難してきた他の世帯には低額な区営住宅などの住居供与を行っていたこと、区が女性を受け入れた当時、退去を迫っていた期間も、区営住宅に空きがあったことなど、区の対応について数々の問題点が明らかになっています。
区は現在、ウクライナ避難民の支援を始めています。会のメンバーは「受け入れ自治体としてパフォーマンスではなく、避難者に寄り添う支援を幅広く継続してほしい」と語りました。
〈東京民報2022年6月26日号より〉