目黒区が東日本大震災で目黒区の友好都市のよしみで目黒区民住宅に避難した被災者を、住宅からの退去と損害金820万余の支払いを求めて訴えた裁判について
この裁判ですが、2021年7月提訴にあたって、目黒区がその出訴費用65000円を、災害救助法の求償の仕組みをつかって宮城県から得ていた問題も、「めぐろ被災者を支援する会」として追及しています。災害救助法は、第 1 条(目的)「(前略)災害により被害を受け又は被害を受けるおそれのある者の保護と社会の秩序の保全を図ることを目的とする。」とあるように被災者を救助するためのものです。被災者の追い出しや損害金請求のための裁判費用に使っていいのでしょうか?
めぐろ被災者を支援する会として、8月住民監査請求しました。情報公開請求によって、宮城県への請求(裁判費用と明記)65000円の収入は明確になっています。しかし9月27日にこの住民監査請求は却下されました。それが「違法・不当」かどうかは明示せず、目黒区は損害をうけているとは明確でない=損はしていないので住民監査請求の対象にならない、というものです。却下されたことは大変残念です。
さらに10月4日開示決定により、宮城県への情報公開請求結果が明らかになりました。目黒区にも東京都にも、65000円のお金の流れ以外なにもないとされた情報が新たに明らかにされました。この結果の詳細は10月23日裁判後の参議院議員会館での報告集会で発表いたします。
新たに明らかになったのは、
①提訴1か月前の6月17日に目黒区住宅課から宮城県復興・危機管理総務課に、訴訟費用負担について確認電話。求償対象になるか、求償請求の方法を問い合わせた。
②宮城県は同日、国=内閣府防災担当に電話し、求償対象であることを確認。
③同日、宮城県は東京都にも電話連絡。都は目黒区の動きは「初耳」。
④翌6月18日、宮城県から内閣府に対して「行政が勝訴した場合、訴訟費用は未退去者から回収すべきお金」なので求償できるか確認する問い合わせ電話。内閣府からは「清算監査において不要と認められれば返還していただくかもしれない」と回答をえた。
⑤6月21日宮城県から目黒区に、裁判が終了(勝訴なら強制退去手続きまで)し「すべて終了した時点で求償」としたいと連絡。了解を得た。
等の点です。また本件訴訟そのものには関連しませんが、
・宮城県は「青森県訴訟費用(令和元年度支出)669,218円」を負担した
・背景には、訴訟費用のみならずみなし仮設住宅の「賃料相当額損害金」も、裁判して勝訴しても回収できない場合、災害救助法で求償できないか、という数多くの事例での問題があることもわかりました。
今後この宮城県の情報公開請求結果に基づき、目黒区、東京都に対してさらに情報公開をせまっていく必要があります。また「被災者への寄り添った支援」をたびたび求めてきた、国=内閣府の対応も問い直さねばなりません。
「住まいは人権」…自治体や国が「力を合わせて」被災者の住宅からの追い立てを行っていることを許さず、取り組みを続けていきます。